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神様のいる場所 (チンボラソ)
チンボラソ火山、標高6267メートル。廃線になった駅のはるか向こうに悠々とそびえているのが見える。数年前までは険しい山あいを走り、世界で唯一“屋根に乗ることができる電車の町”として有名だったリオバンバ。今でも2時間南下したアラウシという町からは、観光用に2両編成の電車が走っている。が、2011年4月現在では屋根に乗ることはできない。

夕方のリオバンバ駅
DSCF7778.jpg

本格登山をする気はないが、チンボラソ火山の5000メートル地点にある山小屋までは、意外と簡単に行けるという。富士山の頂上も飛び越えて5000メートル!?大丈夫かなぁー。

バスに乗り込み、町の中心から少し離れると、ところどころひび割れた壁や、当たり前のように捨てられたごみが目に付くようになってくる。天気のせいで、それらは余計に汚らしく私の目に映る。空は白っぽい雲で覆われ、山もほんの一角しか見えない。
そういえば、アジアを旅行していたときのシュノーリングツアーもいつも曇り。2度にわたるボルネオジャングルツアーでも激しい雨にあい、ジェフ(主人)が一人で行ったハイキングも山歩きも、全部曇りのち雨だった。
そんな事を思い出しながら、本当なら山が見えるあたりの雲をじっと見つめる。なんとなくいやな気分になってきて、「ジェフは雨男なんだ!!」と文句を言ってみる。もちろんそんなことを言ったからといって、天気が回復するわけでもないし、もともと、今日の天気の悪さも彼のせいではない・・・。分かってはいるが、八つ当たりしたくなる。
そんな私に対し「ほら、あそこに僕らの希望が!」とジェフ。果てしなくグレーに近づいていく空に、小さなしみのようにぽつっと残った、うすい水色を指差す。あくまでもポジティブである。

バスは山の西側に回りこむように1時間ほど進む。近づくにつれ、雲が晴れてくっきりとチンボラソが見え始めた。今年見る初雪だった。
幸運なことにバスを降りるとすぐ、今から4800メートル地点にある最初の山小屋まで行くというエクアドル人の熟年カップルが車を止めてくれた。彼らは1年中とても暑い海辺の町から来ているそうで、山間部にある有名な(?)教会やキロトア湖など、いくつかの神秘スポット(とは呼ばなかったが、‘ミスター奇跡’が創った大自然)を1週間くらいで巡るのだそうだ。そんな話をしているとすぐに入り口ゲートに着き、入山料2ドルずつを支払った。

バスから見たチンボラソ 緑がとてもきれいです 
DSCF7785.jpg

チンボラソの入り口から最初の山小屋までは8キロ。もし何かの都合でごつごつした石を探しているのなら、ここに行けば、必ずほしい形とサイズが見つけられるだろう、と思うくらいほかには何もないところだった。岩と石ころと砂利と砂とほこりだけの世界。
車は山を横切るように斜めにまっすぐ上っていく。しばらく行くと道は180度Uターンし、また反対側に同じように続いていく。霧の向こうにビクーニャ(リャマと似た動物)が見える。下からはどんどん雲が押し寄せてきている。

こんなところを走り抜けました ビクーニャは何を食べるんだろう
DSCF7836.jpg

霧と霧の合間を駆け抜け、最初の山小屋に到着した。どうやら、雲に追いつかれずにすんだようだ。もしヒッチハイクできていなかったら、あの雲たちに負けてたなぁと思うと、さらにこのお二人に感謝した。
おじさんは車を降りると山にむかって「ああ、本当に美しい!神はいつも私と共にいらっしゃる」と満面の笑みと、太く大きく自信に満ちた声で言った。そして私も一緒に巨大な山を見上げた。

すぐ先の雪が解けずに白く残りはじめているあたりに、オレンジ色の小箱のように次の山小屋が見える。

写真の真ん中、下のほうに小さな小屋の屋根が見えるだろうか?ホント近いんだけどねぇ
DSCF7801.jpg

多少蛇行しながら続く小道。たった200メートル高度を上げるだけなのだが、これがなかなか難しい。おばさんは車で休み、おじさんとは一緒に次の山小屋を目指した。本当に少しずつしか動けない。おじさんは座り込んで「先に行ってくれ」と言う。待っていようか迷ったが、私は休んでしまうと動けなくなりそうだったので、そのままゆっくりゆっくり進んだ。なんだかスローモーションのジョークを、やりたくもないのにやらされているような変な歩き方になる。
少し前を歩いていたジェフが霧で影しか見えなくなった。空気は一気にひんやりする。何かの仕掛けで舞台装置がからからと変わるように、急に霧が晴れたり真っ白になったりを繰り返す。

DSCF7803.jpg

山小屋がすぐ近くになった。ジェフが待っていてくれて、手をつないで一緒に5000メートルに到着!

ようやくたどり着いた5000メートル。世界は霧(雲?)で真っ白だった。

それでもなんとかたどり着けたことが嬉しくて、バスの物売りから買った甘い甘いキャラメルをなめ、真っ白な世界をかみしめる。あたりを少し歩いてみる。真っ白。二人で記念撮影をする。やっぱり真っ白。具のないおにぎりを食べながらジェフに写真をとってもらう。バックはもちろん真っ白である。山小屋で買ったホットチョコレートを、フーフーとさらに白い湯気を立てながら真っ白な中で飲み、パスポートに貼れるという5000メートル到着記念シールを1ドルで買う。
これらのことを一通り終え真っ白な世界を十分楽しんだ私たち。そろそろ下りようかと下を見ると、何か黄色い四角いものを持っておじさんが霧の中から上ってくるのが見える。もうあきらめて下りてしまったとばかり思っていたおじさんの登場に、すっかり嬉しくなって、駆け下りていってしっかりハグした。「すごい、すごい、0メートルから5000メートルだよ!!」そして最後のほんの少しの道のりを、おじさんと一緒にもう一度登り始める。
・・・すると、“えーーー!?”急に山の雲が切れ始めた。どこまでも透明で深い青い空がのぞく。きっちりとした山の稜線と発光しているように白い雪、そこに荒々しく浮かび上がる岩肌。その表面をうすい雲が滑りぬけていく。地球上で太陽に一番近い所。その光をふんだんに浴び、神々しいくらいに輝いている。
少し離れたところでおじさんは両手を広げ、大きな声で神様との対話に熱中し始めた。「神よ、私たちの罪と・・・・・・・・・許したまえ」祈りの言葉は次々と5分以上続いて、なんだかとても長い・・・・。

DSCF7824.jpg

ちょっとした偶然か‘ミスター奇跡’が起こす小さな奇跡のひとつか。雨男のジェフと晴れ男のおじさん。
輝く山の一角で神をおそれ、心から祈るおじさんを見ていると、今日のところは、神様は本当に彼とともにあるように見えた。
おじさんは私に向かって「神様は僕と一緒にいるでしょ」と言いいながら隣に腰を下ろし、ポケットから取り出したチョコレートを満足そうに食べた。そして私に「神を信じているか?」と質問してから、クルクルっと丸めた金色の包み紙を石ころでもほうる様に“ひょいっ”と投げ捨てた。“えっ?”
足元に落ちた小さな金色のくずから顔を上げる。目の前では、一瞬前とまったく変わらず、悠然とチンボラソが輝いている。おじさんはいったい何を恐れ、何を信じているのかわからなくなった。そしておじさんをもう一度見た。彼が手にしていた黄色い四角いものは、ぴっちりときれいに折りたたまれたままの雨合羽だった。

神様おじさんと記念撮影              パスポートに貼った記念シール
DSCF8232.jpg
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[2011/04/28 15:11] | エクアドル | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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