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行方不明の恐怖 (キロトア)
キトから南へ約2時間、ラタクンガという町に一泊し、翌日キロトア湖を目指した。

山の頂上まで果てしなく続く畑。緑のパッチワークに囲まれた道をバスはひた走る。
たくさんのインディヘナたちがバスに乗り込んでくる。バスの中は、押入れの中にずっとしまっておいた毛布のような匂いになる。空には灰色の雲が立ち込めている。
ハイキングには向かない日だなぁと思いながら2時間。キロトアについた。
バスが止まったその先で、道も行き止まり。数件のホステルが立ち並ぶだけの何もないところだ。その中の一件、部屋にストーブのある宿を選ぶ。
すでに霧が出ていて薄ら寒い。荷物を置いて、すぐ向かいにある展望台に行ってみる。
突然、眼下に広がる深いエメラルド色のカルデラ湖。こんなに簡単に見られるんだ!!

DSCF7592.jpg

湖のほとりまで下りるには約30分、登りは1時間。雨も降りそうだ。約2時間のハイキングは明日の朝することにして、クレーターに沿って少し歩いてみる。湖を左手に見ながら尾根を進む。少しずつ形を変える湖。色鮮やかなオレンジ色の花。
しばらく歩くと小雨が降り出した。ただでさえ空気はしっとりと冷えている。私はぬれないうちに帰ることに。ジェフ(主人)はもう少し歩きたいというのでその場で別れた。宿に戻ると湖のこちら側では雨が強く降り出した。

午後3時半。
私たちが歩き出した湖の右側は晴れているが左半分は霧に包まれて何も見えない。
クレーターを一周するには5~6時間。すでに3時間が経過している。
ちょっと心配になって、宿の人に聞いてみると、クレーター沿いの道には、いくつも小道があって迷いやすいという。その上、1ヶ月ほど前、道を外れて転落した観光客が、無残にも亡くなってしまったというショックな話も聞かされる。不安は一気に膨らんだ。

湖に浮かぶ陰陽マーク不吉です。ものすごくハイキング日和
DSCF7591.jpg


外に出て湖をぐるっと囲むクレーターをもう一度眺めてみる。右手側前方に、とても大きな頂がある。あそこを超えてしまったら、もう戻る気にはなれないだろう・・・・すると今はあの霧の中か?
昼ごはん前に始めた散歩。私としては、本当にちょっとした散歩のつもりだった。ジェフもそうだとばかり思っていた。ジェフの装備を思い出す。持っているのは、バス移動の日にはたいてい持参している“おやつ”のみ。りんご2個とバナナ、ミニペットボトルの水。雨具も防寒具もなくスエットシャツのみ。

宿の1階、食堂があるエリアでは薪ストーブをたき始めた。火の前にいても冷え冷えとしている。“雨にぬれて、この寒さの中、歩き続けられるのか?”そう思うといてもたってもいられなくなってきた。雨も止まず、どんどん日も暮れてゆく。冷えたつま先からじわじわと上がってくる不安、息苦しいような気分になる。
運よく、クレーターの道に詳しいジョセフィーナという地元の女性が一緒にストーブを囲んでいた。どうしても待っていられなくなって、ジョセフィーナにたのんで、クレーターを案内してもらうことに。1周してくる事を前提に湖の左側から回ることにした。

少し歩いただけで靴も足元もびしょびしょになった。
霧で湖はまったく見えない。道はどんどん狭まって、雨水が作った細い川の上を歩くような形になる。どのあたりを自分が歩いているのか見当もつけられない。前を行くジョセフィーナはヒールのついたローファーを履いている。このあたりのインディヘナの女性が一般的に愛用しているものだ。そんな靴でも軽々と道ともいえない道を進んでいく。右手側にあった高い斜面が途切れ、少しひらけたあたりに出る。大声で彼の名前を呼べという。真っ白で何も見えない湖に向かってジェフの名前を叫ぶ。体中が震えるくらい大きい声で、何度も何度も繰り返した。
・・・・・静寂。むなしくも私の声はどこにも届かず、底のないどこかに吸い込まれていくだけだ。そうしているうちに、暗く湿ったところで一人ぼっちで動けないジェフの姿が頭に浮かんだ。

1時間半以上歩いた。ジェフはどこにもいない。彼が迷わず進んできていたら、そろそろ会えてもいいはずだった。“転落したかも”、またいやな想像がよぎる。「そっちの道じゃない」そう、ジョセフィーナに言われても、湖側に続く小道が気になり、下りながら必死に彼の名前を呼ぶ。“ずいぶん下まで来てしまった”、ふと我にかえり、元の道まで戻ってみる。が、こんどはジョセフィーナの姿が見えない。名前を呼んでも返事も気配もない。そういえば、少し前から、「暗くなる前にもう帰ろう」と何度も言っていたのを思い出す。しばらくその場でじっと待ってみるが物音ひとつしない。意地悪な雨が降り続いているだけだ。ここまで、ひたすら前を歩くジョセフィーナについてきた。自分の来た道を振り返ってみるが、どれが道なのか、はっきりわからない。「ジェフが見つかるまでは絶対に帰れない!」そうジョセフィーナに言い続けてきた。けれども“自分がここから返れないかも知れない”そう思うと急に弱気になった。

どうしようもなく途方にくれた。仕方なくその辺を少しうろうろしてみるが、もちろん何も解決しない。“ガサッガサガサ”木のこすれる音。近づいてみると2羽の小さな鳥が茂みの中で戯れている。ああー、薄暗い山の中、私も一人ぼっちになった。

それからしばらく、さらに、どうしようもなく途方にくれていると、突然、遠くからジョセフィーナの呼ぶ声が!!よかった置き去りじゃなかった!!

息を弾ませながら帰ってきたジョセフィーナ、ここからもうひとつ先の頂まで行って来ていたらしい。そこで会った地元の人が、“今日は観光客らしき人は見ていない“と言っていたそうだ。そして彼女は「たぶん、ジェフは山の反対側の集落に下りたのよ。村の人が車でキロトアまで送ってくれるから大丈夫。もう帰ろう」と言う。1人でどんどん飛ぶように走って険しい坂を上り、さらに先を見てきてくれたジョセフィーナに感謝した。そして、一人ぼっちで意気消沈していた私は、おとなしく彼女の言葉に従った。

それでも、ジェフが無事に宿に戻ったら、すぐにかかってくるはずの電話もまだなかった。彼女は「ここは電波が入らないからだ」と私を慰めてくれるが、そんなはずはなかった。(エクアドルでは、どんなに田舎でも山のてっぺんに携帯用の鉄塔がいくつも立っている。)“いざとなれば私は彼を見捨てて帰っちゃうんだ・・・・”そんな思いがこみ上げてきて、どうしようもなく情けない気持ちになった。と同時に“ジェフは大丈夫、山の反対側に下りたはず”そう信じようとする、ちぐはぐな思いを抱えて、もと来た道を黙々と歩いた。

すっかり暗くなった霧のむこうに町の明かりが見えてきた。宿の外ではジョセフィーナの旦那さんが心配そうに私たちを待っている。ドアを開けて、中に入った。もわんと暖かい空気が私の湿った体にまとわりついてくる。私はすぐに、びしょぬれのポンチョも帽子も脱ぎ捨てた。シュンシュンと湯気を吹き上げるやかんを乗せた薪スト-ブを、みんなが囲んで立っている。ジェフもいる!!
彼を見たとたん、たくさんの涙が急に吹き出してきた。そして信じられないくらい大きい声で泣いた。気がつくと宿の小さい男の子が温かい目で私を見つめている。ストーブも湯気も、宿の明かりも、ジェフの体も何もかも温かかった。 しばらくして落ち着いたら、一人盛り上がりしたことがちょっと恥ずかしくなった。そしてジョセフィーナは「だからもっと早く帰ろうって言ったのに~」といたずらっぽく笑った。

翌朝チェック、写真右斜め上方の大きな山に注目! ここを越え半遭難まっしぐら
DSCF7597.jpg

夜、部屋のストーブをつける手伝いに来てくれた 子供、ホントしっかりしてるなぁ
DSCF7594.jpg

前日とは打って変わってよく晴れている 手前薄ピンク色のがわが宿、よく見えないけど
DSCF7606.jpg

朝日に輝いてホントにきれいでした
DSCF7601.jpg

さて、私がこんなに心配している間、ジェフはいったい何をしていたのか!?気になる遭難した本人ジェフのブログ“キロトアループ”はこちらから

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[2011/04/10 05:13] | エクアドル | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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