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人々の祈り (ポトシ)
炭鉱の町ポトシ。町の南西に赤く聳え立つセロリコ。

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16世紀中ごろ、銀脈が発見されると、この山はスペインをはじめとするヨーロッパ諸国に莫大な富をもたらした。しかしその反面、この地に住むインディヘナたちは大きな苦しみを与えられることになり、たくさんの命が失われた。
当時、何百万という奴隷達がアフリカからもつれてこられたが、現在このポトシ周辺ではアフリカ系の住民を見かけることはない。彼らは6ヶ月間、山から出ることなく働かされ、その後の6ヶ月は何もしなくても良いという仕事サイクルを与えられていたそうだが、これは間違いなく人間の使い捨てを意味していたのだろう。

現在のポトシでは、ほとんど銀の採掘は行われていない。しかし、なお多くの資源が眠り、この山と共に生きる人々がいる。彼らの日々はパチャママ(大地の神)とともにあり、日曜日には教会へ行き、山に入るときには炭鉱に祭られた角の生えた神“ティオ”を恐れ信じる。
ティオとはスペイン語で(叔父)を意味する言葉だが、私たちのガイドによるとDios(ディオス=神)のDの発音がケチュア語(インディヘナの言葉)でははっきりせず、ディオス→ティオス→ティオに変わったということだ。

6月の土曜日には、炭鉱で働くそれぞれのグループがリャマをいけにえにする。
私たちは25日の土曜日、“プリメロデマヨ”で行われるらリャマのいけにえの儀式を見に行った。

山のふもとにはマーケットがあり、長靴からダイナマイトまで炭鉱で必要なものは、全てここでそろえることができる。この日は人があふれ、屋台はどこも“ぶっ掛け飯”みたいなものを食べている人でいっぱいである。黒魔術風グッズ(?)の露天もたくさん並んでいて、ここではリャマの胎児やら鳥やらが、ミイラ状に乾燥されて売られている。何に使うのか聞いてみると、「suerte(運)ごにょごにょっ」と言われたのだが、実は何を言ってるのか全然わからなかった。あまりしつこくすると呪われるんじゃないかと恐れをなすくらい、売っているおばさんたちの目つきもアヤシイ。

乾燥したリャマが箱いっぱいに入っている
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私たち観光客は祭りに参加させてもらうために、“ボリビアンウイスキー”と呼ばれているアルコール96%の酒(消毒みたいな味がする)とビールとコカの葉を買う。炭鉱で働く人々にとってコカの葉はなくてはならないものだ。彼らは山に入る時には必ず乾燥したコカの葉をかみ、そして食事の代わりに、一日中新しいコカの葉を、1枚1枚口に含み続ける。彼らのほっぺたは、まるでハムスターかリスのようにコカの葉でパンパンになっている。言ってしまえばコカインで、空腹や疲労を紛らわせて働くのだが、コカの葉をかむことはとても伝統的で、自然なものだと信じられている。さらにはビタミンや栄養もあり、口の中で湿ったコカの葉が作業中に出るほこりを吸着してくれるとさえ信じている人もいる。とにかくここでの仕事はコカの葉なしでは成り立たないのである。
マーケットの坂を上ると、この日はたくさんのリャマが売られている。よく太って、愛らしい目をしたリャマたち。どんな運命が自分たちに待っているのかまったく気にしてないようである。

私たちが儀式に参加する“プリメロデマヨ”は山の入り口から一番近いところにあるトンネル。山の下のほうにある炭鉱の入り口はすでにスペイン征服時代にあけられたものが多く、入り口から十数メートルはきちんと石が組まれたトンネルになっている。ここも200年以上前に掘られたものだそうで、今では奥行きは300メートル以上にものぼり、人々は資源を求めて、さらに奥へ奥へと進んでいる。
私たちが到着すると、すでに4頭のリャマが繋がれていた。近くでダイナマイトが爆発する音がきこえる。
ここに住む家族、働くもの、そして私たちツーリスト、全員で乾杯する。人々はリャマの背中にもビールやお酒をかける。

感謝
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ぼんやりしていると“オレンジジュース割のボリビアンウイスキー”の小さなカップがどんどん回ってきて、それを飲むことになる。飲みきれないと思うときは口にする前に、パチャママへといって、半分ほど、大地にわけてあげればいい。
久々のアルコールとコカの葉で、あっという間に思考力がゼロになる。しばらくすると男達がリャマを炭鉱の入り口に引きずるように移動させていく。リャマも何かの予感があるのだろうか、かなり抵抗している。4頭のリャマは、後ろ足を縛られ、座った形で入り口に一列に並べられる。みんなが順番にビールやコカの葉をかけて回る。そしてコカの葉を無理やり押し込むように食べさせ、ビールもどんどん飲ませる。一匹のリャマはすでに酔っ払ってしまったのか伸びてしまっている。

ビールの泡がはみ出してもどんどん飲ませる ゲップ
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そして12時を回ってとうとう儀式が始まる。
男はリャマの首の根元を、右ひざで押さえ、たてたほうのひざでリャマの首をささえながら、口元を左手でしっかり抱える。三つ網をした女性がプラスチックの入れ物を両手に持って、近くで構える。男はぐっとリャマの喉元に小さめの家庭包丁を差し込む。蛍光色に光る血が筋になってこぼれる。男は普通に肉を切るように、前後に刃を動かしながら、リャマの首の半分ぐらいを切る。

子供もみんな一緒にみつめている 見上げるリャマの目が悲しい
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血の色は思っていたよりとても鮮やか 大切にどんどん集める
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女性はあふれる血をプラスチックで受け止め、たまった血をトンネルの入り口に勢いよく浴びせかける。色鮮やかな血を少しずつ吸い込むトンネル。これは鉱山のそれぞれのトンネルに祭られた鬼神ティオのための儀式だ。炭鉱夫たちが一日の作業を終え、無事に外に出られるのはティオに守られているおかげであり、また、事故や病気で命を落とすのも、このテイオが時として人間の血を欲しがるからだと信じられている。

これは炭鉱の入り口 家の壁にも振りかけてました
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4頭のリャマ全ての命と血をいただくと、男も女も順番に大きなビール瓶を勢いよく振り、吹き出したビールを血に染まった炭鉱の入り口とリャマの体に浴びせかける。

みんな次々とビールシャワー
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神聖な命、神聖な血、神聖な酒、これらを捧げ今年1年、また彼らは守られる。危険を伴う作業は人の心を信心深くし、神をより身近に感じるようになる。純粋な恐怖心のあるところには、必ず祈りが生まれる。彼らの心と生活を支えるために、ここで死んでいく4頭のリャマに感謝し、そしてとても誇らしく思った。

1頭のリャマが横たわった体を、びくんびくんと震わしている。隣にいた子供が、「死んでるのに何で動いてるんだ?」と私に聞く。「少しずつ死んでいて、まだ死んでないからだ」と答える。(本当は単に神経が反射しているだけかもしれないが。)彼はそんなリャマを動かなくなるまでじっと見つめていた。

お酒のお清めが終わると早速リャマを移動させ4,5人で解体し始める。さっきの子供が「肉だ肉だ」と大喜びしている。彼は生と死、そして自分が何によって養われ、何を食べているのかちゃんと知っている。

解体は手際よく行われる。仰向けに寝かしたリャマの、胸の一番高くなったあたりから一人は首のほうへ向かって、一人は腹のほうへ向かって皮に切れ目を入れてから、ナイフですこしずつ皮をはがし始める。これも家庭用の普通の包丁で、なかなか切りにくそうだ。石でナイフを研ぎながら少しずつはいでいく。

子供もみんなお手伝い 肉が楽しみだしねぇ
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別の男がやってきて前足のひざのした辺りの皮をくるっと一周カットし“ぼきっ”と折り取る。骨を折ると本当にそんな音がする。私は足の先がなくなって、すでに皮をはがれた足を持つ。まだ温かい。空気が乾燥しているせいか、肉の表面は案外さらさらしている。

私もせっかくなのでお手伝いします
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肉を汚さず、作業をスムーズに進めるために4人がそれぞれ足を持ち上げている。斜め向かい、後ろ足の一本は12歳の女の子がよそを見ながら弟の手でも引くように軽く握っている。腹を開き、内臓が見え始める。パンパンに張った胃袋(?)を女の子はつついて遊ぶ。きれいに腹の肉が開かれると内臓を取り出す作業だ。崩さないように内側の薄皮をはがしていく。膀胱にたまったおしっこを外に少し漏らし、きゅっと先端を結んでしまう。次は内臓の下側に手を入れ、たぐるように、どんどんと喉のほうに手を入れていく。口元と繋がった食道を切り離すために、男は自分の娘に「ここだここだ」とうちがわから引っ張って見せる。娘はうまくその部分をカットしたようで、内臓全体と体が離れる。3人がかりで、ぐにゅぐにゅと動く内臓を一輪車の上にでろんと乗せ上げる。

湯気が立ちそう
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さすがに私は、手を出す気にはなれず前足を持ったまま、だまって観察する。内臓が取り出されるとリャマの体を少し持ち上げるようにしながら、あっという間に背中のあたりの皮もはがされ、首の皮もくるっとはがされる。そして後ろ足をモモからもぎ取り、少しずつ肉らしい形態になってくる。
最後の難関、脊髄にそっては、ナイフを石でたたきながら少しずつ分解していく。がつがつっがつっ。がつがつっ。

がつがつっ
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アバラの部分も背骨からわけとられ、皮はきれいに一枚、肉は肉の塊になる。頭や足はどこかへいってしまったと思ったら、先ほどの内臓が乗せられた一輪車にきれいに動物型に置かれ、またトンネルの入り口に並べられていた。そこには、紙ふぶきや色とりどりのリボンが添えられ、さらにこれらも鉱山の鬼神ティオに捧げられる。

ここにリボンがかけられます
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女達は肉を小さな塊に分ける作業を進め、男達はさらにコカの葉を噛み、酒を飲み、お供え物にお酒をかけている。しばらくして、一人の女性は火をおこす準備を始めた。
バーベキュー用の鉄板は畳1畳よりさらに大きく、1メートル×2メートルといったところだろうか・・・。火の準備ができると女達が肉を焼き始める。骨付きリャマ肉が何十人分とバーベキューにされる。

超巨大バーベキュー
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焼きあがった肉はプラステイックの皿に盛られ、茹でたいもと一緒に、そこにいた20人近いツーリスト全員にも振舞われた。
焼き加減は血が滴るようなレア、そして塩味はまったくついてないが肉は新鮮でとても美味しい。(私は、もうちょっと自分で焼いたけど・・・・)

待ちに待った肉!!
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リャマ解体は無視するように遠巻きで話し込んでいたツーリスト達。このときばかりは、まったく臆することなく笑顔で骨にしゃぶりつく。人間のこういう偽善的残酷さは私を少しげんなりさせる。東京にいるより消耗させられる瞬間かもしれない。
世界旅行はどこでも簡単にいけるようになり、表面的なナイスガイたちがそこらじゅうにあふれている。

この後、穴を掘り、取りだした内臓や頭を埋め、その上で土を固めるために(?)ダンスを踊るというイベントがあったらしいが、ここで私はギブアップ。
肉や血のにおいが、手やらジャケットやら全身にこびりついている。そこにいる人々にお礼を言い、炭鉱を後にした。

ボリビアンウイスキーのせいか、ものすごい頭痛がする。ベットの中で目を閉じていると、よみがえってくる今日の光景や、匂い。しばらく肉は食べられないかなぁ・・・・・などと考えていたが、翌日ランチで、ちゃっかりミラネッサ(うすくたたいた肉に小麦粉をつけて焼いたもの)を注文していた。




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[2011/07/06 12:00] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
心よりお見舞い申し上げます
地震から19日、インターネットのトップ記事は日本からリビアへと変わった。
しかし福島原発の不安はそのままだ。
今でも400人が中で、復旧作業を続けているという記事を昨日見た。
「東京電力で数十年働いてきた。原子力発電は安全でクリーンなエネルギー源だと誇りを持ってやってきた、だから行く。しばらくは帰れないと思う。」という内容の東電社員のコメント、事故直後に娘さんがNHKにFAXしていたのを思い出した。
なぜ社長や幹部が行かない!!
 
そして今日ようやく廃炉決定。
わたしには原子力発電を完全に否定することはできない。それでも福島原発、1から4号機の古さに対する警告を今まで無視し、事故直後、アメリカからの冷却材の受け入れも断り(廃炉前提のものだったため)情報も十分公開せず、日本をここまで危機にさらしても、会社の損得を最優先させた東京電力の行動は信じがたい。

早く日本に安心できる日がくることを祈って。
心からお見舞い申し上げます。



遠くで起こっている自分の国の悲しい事件を見るのはひどくいたたまれない気持ちだ。

3月11日、パパヤクタ。朝起きると、宿のおばさんが普通の顔で「日本で地震があったわ。」という。
前の晩テレビで中国の地震のニューを見ていたので、そのときは、“おばさん日本と中国が一緒くたになってる”と思っていた。(エクアドルでは日本を中国の一部と思ってる人がたくさんいる。「日本人の給料は1ヶ月200ドルくらいなんでしょ?」とか「時計が安いでしょ。」とか言われる。)

実際、地震のことを知ったのは移動中のバスの中、流れていたラジオ放送からだ。そのときは、1000人以上が行方不明だと言っているようだった。でも細かいことがよくわからないまま、あっという間にニュースは終わって陽気な音楽番組に変わってしまった。あやふやな理解と不安で、頭の中に何か硬い塊が押し込まれたようないやな気持ちになった。
夕方ホテルに着くとレセプションのテレビが水浸しの町を映していた。なぜか北海道(?)とテロップが出ていた。どこで何が起こったの?日本のこととは思えないような日本の映像。次から次へと水にのみこまれる町。
あわてて日本に電話した。

今日まで、多くのエクアドル人や旅人たちから、たくさんのお見舞いの言葉をもらっている。







[2011/03/29 05:44] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
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